黒色女子を個人授業
周りには品の良い着飾ったカップルが豪勢なディナーを楽しんでいる。


……落ち着かない。

高級感漂うこの場所に馴染めないのももちろんだが、何より酒井くんとこういう雰囲気で向き合うことにもーー


「適当にコース頼んじゃっていい?」

「え? ああ、うん!」

そわそわと周囲をうかがっているところに声をかけられて我に帰った。

「飲み物どうしようか? ワイン飲めたよね?
せっかくだからいいやつ飲みたいよなぁ」

「……そうだね」


酒井くんは、慣れない空気にぎくしゃくしている私をさりげなくエスコートしながら、注文を済ませた。

……酒井くん、慣れてるんだな。

こういうところ、よく来るのかな?


心強い反面、この場所に自分が居ることに対して余計に自信が持てなくなる。
< 206 / 510 >

この作品をシェア

pagetop