黒色女子を個人授業
私、こんなカッコでここに居て良いんだろうか……


夜景を映す大きな展望窓に反射する自分の姿を見て、引け目を感じた。

少しはオシャレをするようになったとはいえ、クリスマスデート用に着飾った女性と比べたら足元にも及ばない。

対して酒井くんはいつも通りの装いとはいえ、細身のパリッとしたストライプのスーツは、この場所になかなか適しているように見えた。


「酒井くん、こんな良いお店、私と一緒で良かったの?」

なんだか申し訳なくなって、小さな声で問いかけた。


隣が私で、恥ずかしい思いをしていないといいんだけど……


そんな願いを込めて聞いてみたのだが

彼は私の言葉の意味について少し逡巡したあと、やがて気恥ずかしそうに目を逸らして答えた。

「……天野と一緒が、良かったんだけど」


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