黒色女子を個人授業
「酔い覚ましに少し歩こうか」
レストランを出た酒井くんがそう言って歩き出した。
私たちはビル街を抜けて、大きな公園を囲む大通りをゆっくりと歩いた。
木々を彩るクリスマス用のイルミネーションが、歩を進めるにつれ徐々に細々と静かになり、やがて普段と変わらない公園通りになった。
冷たい風が、お酒で火照った頬の熱を冷ます。
……熱いのはお酒のせいだけではないかもしれないけれど。
「やっぱり落ち着かなかった?」
酒井くんが苦笑いを浮かべた。
「せっかくのクリスマスだし、ちょっと気合いを入れて良い店、予約してはみたんだけど……」
照れくさそうな表情で言う彼に、私もつられて照れ笑いする。
「……ちょっと緊張しちゃったな」
本当は『ものすごく』だけど。