黒色女子を個人授業

「だよね。やっぱ俺らっぽくなかったよなー……」

酒井くんは上を見上げて呟く。「やっぱり、普通が一番だよな」


「普通っていうと、牛丼とかになっちゃうけど」

「クリスマスに牛丼はちょっとなー」

「せめてチキンくらいは食べたいね」

「この前、鳥丼出てたよ」

「やっぱ牛丼屋なんだ」

私たちは笑った。


「あ、でも、素敵だったよ。普段あんなところに行かないし。
貴重な体験、ありがとうございました」

私が丁寧にぺこりとお辞儀をすると

「あ、いや、そう言ってくれるとありがたいけど」

彼は逆に困ったように、かしこまる私を手で制した。


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