黒色女子を個人授業
「ああー、またクライアントが無茶苦茶な要求してきてんぞ?
大城、このメールどうする?」

今井さんが今日もまた面倒くさそうに声を張り上げた。

「取り敢えず、置いといてください。
打ち合わせついでに断りを入れておきますから」

大城さんは立ち上がってバサッとコートを翻す。

「それでは打ち合わせに行ってきます。
宮間さん、出れますか?」

宮間さんは「はい」と返事をすると、コートとバッグを抱えて大城さんのあとを追った。


二人が並んでオフィスを出る姿に、私は心が揺れた。

そこは私の場所だったのに。


打ち合わせ帰りのコーヒータイムを、今は宮間さんと一緒に楽しんでいるのだろうか。
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