黒色女子を個人授業
ほんの少し、安心している自分がいた。

不謹慎だ。大城さんが苦しんでいるというのに。


「何が問題って――」今井さんは難しい表情で腕を組んだ。

「足りない戦力分を大城が一人で負担してるってことだよな」

すごい! と花は感嘆の声を上げた。

「そんなに大変なことを余裕でこなしちゃうなんて、やっぱりできる男は違うなあ」

「いや」今井さんは静かに首を横に振る。「内心いっぱいいっぱいだろうよ」見透かすように答えた。

さすがの花も少し心配そうな顔をする。



それって

結局、私が大城さんの首を絞めたってことだよね。

私が問題を起こしたから……


今井さんは珍しく真剣に大城さんの身を案じているようだった。

「そのうち溢れなきゃいいが」


彼の懸念が現実となるまでそう時間はかからなかった。
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