黒色女子を個人授業
後ろで騒動を見守っていたはずの宮間さんが、それを聞いて立ち上がった。

「そんな訳ありません! 私、議事録にそのときの会話も記述しましたよ!」

花と大城さんの間に割り込んで身を乗り出す。

「もう一度探してみてください! 絶対にあるはずです」

言われた通り花は再び検索をかける。

単語を変え、手順を変え、考えうる限りの手段を尽くしたが、結果は変わらなかった。


「回覧の時にクライアントに消されたのかもしれない」

「だったらファイルサーバーの履歴を見れば分かるはずーー」

「……このファイルサーバーを管理しているのはクライアント自身だ。
履歴を消すことも可能なはずだ」

今井さんがチッと舌打ちをした。


花が呆然として呟く。

「でも、いくらクライアントでも、そこまで悪意のあることをするはずが……」


私たちは押し黙った。


「やりかねないな」「そう来ましたか」今井さんと大城さんが口々に吐き捨てた。

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