黒色女子を個人授業
「……僕のミスです」

呟いた大城さんにいつもの笑顔の面影はない。

彼は悔しさを滲ませながら、力なくうな垂れた。



でも、悪いのは大城さんじゃない。

私は黙っていられなくなり立ち上がった。

「悪意があって仕組まれたことですよ。
決して大城さんのせいでは……」


なにしろ、もとはといえば、原因を作ったのは私なのだから。

私があんなトラブルを起こしたから。目をつけられるようなことをしたから。はっきりと断りきれなかったから。

結果、大城さんまで巻き込んでしまった。

私のせいで大城さんが責められるなんて耐えられない。


「いえ……」

大城さんはうつむいたまま、自嘲の笑みを浮かべる。

「メールなり何なりで手順を踏んで、きちんと断りの記録を残しておくべきでした。
付け入る隙を与えたのは、僕のミスです」

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