黒色女子を個人授業
私たち3人は揃ってフロアを出た。もうフロアには誰も残っていないため、入り口のドアを施錠する。

並んでエレベーターを待ち、しばしの静寂が流れる。


「……あー、俺、一服してくるわ」

ポツリと今井さんが呟いた。


「今ですか? せっかく鍵閉めたのに」

私が驚いて聞き返すと

「今吸いたくなったんだよ。お前に分かるか、このニコチン中毒の気持ちがっ」

そう言って大城さんからフロアの鍵を奪い取った。


「もうその辺のコンビニで吸えばいいじゃないですか」

相変わらず大城さんは今井さんへの対応が冷たい。

「この寒いのに外で吸えって? 鬼だなお前は」

そう言い残すと、「お疲れー」と言ってフロアへ戻って行く。

去り際に私の肩をポンッと叩いた。


え。

何今の?

……もしかして、何か任せられた?


エレベーターの前で、ぽつんと私と大城さんの二人が残された。
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