黒色女子を個人授業
高速を使って1時間半で湘南エリアまで辿り着き、「見晴らしのいい海岸まで行ってください」という私のわがままにも運転手さんは付き合ってくれた。

「一度にこんなにタクシー代を使ったのは初めてだよ」

大城さんはボヤきながら運転手さんにカードを渡す。


「来ちゃいましたね……」

私はタクシーから降りて呟いた。


頬を掠めていく潮風。

でもそれは爽やかというより

「……寒いですね」

「1月だからね」


そして辺りには見渡す限りの黒。

「景色、あんまり見えませんね」

「夜だからね」
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