黒色女子を個人授業
私ってバカなんだろうか。


こんな暗闇じゃあ見晴らしも何もないし。

何より真冬の海風は冷た過ぎた。


せっかく気分を入れ替えて、スッキリしてもらおうと思ったのに。

何も見えないこの暗闇じゃ、海の爽快感はゼロだ。

こんな寒い中、放り出されて、これじゃあただの嫌がらせじゃないか。


「なんかもう……ごめんなさい」

私が泣きそうな声を出すと、大城さんはくすくすと笑った。


あまりの寒さに手がかじかんで、鼻と耳がツンと痛くなる。

「寒いですよね、もう暖かいところ行きましょう」

私が帰ろうとすると

「待って、天野さん」

大城さんが引き留めた。

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