黒色女子を個人授業
私たちは食事処の旗を掲げている2階立ての小さな民宿に入った。

中年の夫婦が切り盛りしているこの店は、閉店ギリギリにも関わらず、海の幸をふんだんに使った定食でもてなしてくれた。


「こんな時間にそんな格好で珍しいねぇ。
仕事帰りかい?」

食事を運んでくれた恰幅の良いおばちゃんが親しげに話しかけてきた。


「はい、こんな時間にすみません」

「とんでもない。
もう宿は決まってるの? なんなら上に部屋が空いてるから、泊まって行きなよ」

「せっかくですが、明日また仕事なので」

大城さんがやんわりと断ると「あらぁ、大変ねぇ」と呟きながら店の奥に引っ込んでいった。


料理を作ってくれていたご主人が

「酒くらい飲むだろう。いい日本酒あるよ」カウンター越しに叫ぶ。


「せっかくだから、少し飲んでく?」

そう私に確認して、大城さんは日本酒を頼んだ。
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