黒色女子を個人授業
彼は身体を起き上がらせて、私の耳元で囁いた。


「夕べの君はすごく良かったよ」


――っっ!!!


声にならない悲鳴。眩暈がした。

「嘘ですよね!? 嘘ですよね!?」


半泣きでしどろもどろになる私を見て

「冗談だよ。何もしていないよ」

彼は吹き出した。


「でも、着替えは……?」

私は浴衣の袖を握り締めて、涙ながらに問いかける。


「女将さんが、服がシワになるからって着替えさせてくれた。
ここに運ぶのも手伝ってくれたんだよ。
あとでお礼言わなきゃね」

「でも、今、浴衣の前がはだけて……」

「それは君の寝相の問題だと思うよ」
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