黒色女子を個人授業
「身体を使って仕事を手に入れたなんて思いたくないだろう?」

彼は私の頬に触れながら、優しく、けれど哀しそうに呟いた。


「これじゃあ、また君が自分の価値を見失ってしまう。
君の今までの苦労が無駄になってしまう。
……そんなことできないよ」


もう仕事なんてどうでもいいと考えている自分に驚いた。

あれだけ頑張っていたのに、こんなにあっさり捨ててもいいと思うなんて。

でも彼は、それを許してはくれない。


「……はい」


私は静かに頷くと、彼の手をそっと握って、自分の身体から離した。
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