黒色女子を個人授業
朝早く私たちは民宿を出た。

さすがに二人して昨日と同じ格好で出社する訳にはいかない。

彼はそのまま仕事へ向かい、私は一旦家へ帰って着替えてくるように命じられた。


「おはようございます。遅くなりました」

いつもより遅い時間に慌てて出社した私を見て、今井さんが

「ほお〜?」

と何やら言いたげにニヤついた。

「いやあ、俺は安心したよ。そうかそうか」

離れた席で宮間さんと打ち合わせしている大城さんの姿を横目で眺めながら、意味深な発言をする今井さんに、花がピクンと肩を震わせた。


「彩香。ちょっとこっちきて」

半眼で睨みつける花の迫力に押されて、私たちは休憩スペースへと向かう。
< 341 / 510 >

この作品をシェア

pagetop