黒色女子を個人授業
「あなたこそどうなんですか。
言っときますけど、僕が抜けたら、次にマネージャーに繰り上がるのは今井さんですからね」

その言葉を聞いて、今井は心の底から憂鬱そうにため息をついた。

「残業したくねぇーなー」

「就任の公約にNO残業を掲げたらどうです?」

「いいね。それでいこう」

視線も合わせず、二人はいつも通りくだらない会話を交わす。


「まあ、若いうちにやりたいことはやっといた方がいいぞ」突然老けた忠告をする今井に

「そんなことは分かってます」大城は子ども扱いするなとばかりに不機嫌な顔をした。


「……彼女だったら、何て言うかな」

誰にも聞こえない声で、大城は空に向かって呟く。

溢した言葉は冬の白い吐息に乗せて、真っ青な澄んだ空に緩く漂い消えていった。
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