黒色女子を個人授業
誰もいない細い廊下を一人で歩いていると、後ろから「お疲れ様」と声をかけられ、私は振り向く。

そこにいたのは――

出た! セクハラオヤジ!


相変わらずの気持ちの悪い表情を携えて、今日も登場した矢追さんは、私の横に張り付いた。


「残念だったねえ。大城さんがプロジェクトから外れてしまって」

よく言うよ、と心の中で呟いた。あんたが外させたくせに。


「でもよかったよ。君が引き続き担当してくれて」

当たり前だ。

あんたごときのために辞めてたまるか!


「邪魔者もいなくなったし、どうだい? この前の話の続きをしようか」

そう言って矢追さんは私の肩に手を回す。
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