黒色女子を個人授業
「嘘! 大城さんは、私のことなんか忘れていたでしょう!」

今さら甘い言葉を囁く彼を私は責めた。

「暇になったから、からかいに来たんでしょう!?
大城さんはすぐそうやって――」

彼は、取り乱した私の両肩を抱いて

「違うよ」

そう言って私を覗き込んだ。

「違わないよ、いつも私だけこんな想いして」

「君だけじゃない」

彼の両方の手が、私の頬をそっと包み込む。

「僕だって同じだ」



吐息がかかりそうな距離。

こんな近くで見つめられたら

気持ちを隠せなくなってしまう。

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