黒色女子を個人授業
「やっぱり、ちょっと可愛らしすぎやしませんか?」

「まだそんなこと言ってるの?」

彼が呆れるのももっともで、先ほど売り場で散々揉めたばかりだ。

ハートがいいと主張する彼に、もっと簡素でシンプルなものがいいとごねる私。

結局最後は彼が押し切って、この指輪に決めた。

あのときと一緒だ。いつも強引。


その強引さに救われるのだけど。


彼が指輪の箱を受け取った。

「手を出して」

言われるがままに、私は右手を差し出す。
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