黒色女子を個人授業
結局、仕事が終わる頃には夜の10時を回っていた。

私と今井さん、2人並んで帰りのエレベーターを待っていると、今井さんが目線も合わせずぽつりと呟いた。

「悪いな、こんな時間になって」

ぶっきらぼうな謝罪。

少しむくれながら、私は答える。

「もういいです。いつものことですから」


すると、今井さんはバッグの中身をガサゴソとあさり始めた。

眉をひそめる私に、小さな紙袋を手渡す。


「これ。やる」

「は?」


私は恐る恐る紙袋を受け取った。


「なんですかこれ?」
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