黒色女子を個人授業
「ホワイトデー」

彼はそっぽを向いて答えた。


ホワイトデー? 何を急に今さら?

「……今4月ですけど……?」

私の突っ込みに

「仕方ないだろ? 忙しくて買えなかったんだから」

何故か彼は苛々しながら答えた。


紙袋に印字されているブランド名には見覚えがあった。

雑誌で特集していたのを見たことがある。ここ最近日本に初出店して、話題になった高級スイーツ店だ。

思いのほかセンスの良いチョイスに戸惑う。


「……奥さんが、選んだんですか?」

「違う。自分で」

ぶっきらぼうに答えた彼は、口元を手で覆い隠しながら、心なしか少し恥ずかしそうに呟いた。

「あんな手の混んだバレンタインもらったら、嫁には言えねぇだろ」

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