黒色女子を個人授業
私が必死に歩いていると

不意に荷物が軽くなった。


え……?


後ろを歩いていた今井さんが、私のバッグをひょいっと持ち上げる。

「これ重っ」

彼は短く呟きながら、自分の肩に担ぎ上げた。

すると、前を歩く2人へ向かって大きく声を張り上げた。

「おーいちょっと先頭集団。
もうちょっとゆっくり歩いてくんないかな。
疲れるんだけど」


私が無理していることに気づいてくれたのだろうか?


まただ。

またそうやって不意に優しくする。

似合わないよ、今井さん。


私の視線に気づいているのかいないのか、彼は何食わぬ顔で歩き続けた。





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