黒色女子を個人授業

打ち合わせを終えると、もう夜の７時を回っていた。

今日は全員直帰の予定だ。

クライアント先のビルを出た私たち４人は、最寄り駅へと歩き出した。


「それにしても、厄介なことを頼まれましたね」

営業の山田さんが、前を歩く今井さんの背中に向けて声をかけた。

「名古屋出張の件か？」

振り返った今井さんは、歩みを緩め、山田さんの横へ並ぶ。

山田さんはため息をつきながら頷いた。

「どうしますか？
私は他の打ち合わせが入ってるんで行けませんけど、今井さん一人で行ってきちゃいます？」

その提案を聞いた今井さんは、うーん、とうなり声を上げる。

「俺一人か。まぁそれでもいいんだが……俺一人が抱え込んで実作業者が把握してないのもなあ……」

そう呟くと、ふと私の方を見た。


「お前もくるか？」