黒色女子を個人授業
大きなお世話だ。ついでに出世とも無関係だ。

私が何も言えずにいると大城さんは「よしっ!」と何か考えついたようにコーヒーを飲み干し「行くよ」そう言って席を立った。

「帰るんですか?」

「いいえ」

彼は机の上に散乱した資料をササっとまとめて自分のバッグへ突っ込むと、何故か私のバッグまで小脇に抱えて店の入口へ歩き出した。

「どこ行くんですか!?」私は慌てて追いかける。

「僕の出世術を教えてあげるよ」

不敵な笑みを浮かべながらカフェを出た彼は、私の荷物を人質に取ったまま、人混みでごった返した大通りをスタスタと歩き始めた。
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