黒色女子を個人授業
「やめてくださいよ、なんなんですか」

彼女は俺の身体を起こそうと、しゃがみこむ。


「そんな、謝らないでくださいよ。別に無理に何かされたってわけでもないし……」

「それでも、滝川が途中で入ってこなかったら、俺はお前を……」


言いかけると、彼女は俺の顔に手を伸ばした。

口元の絆創膏に触れる。

殴られたと云わんばかりの口元がみっともなくて、今朝早くコンビニに行って、絆創膏を買ってきた。

そいつは見事に隠す役割を果たしてくれた。

そもそも、そんなところに絆創膏を貼っていること自体が怪しかったりもするのだが。


「跡、残っちゃいましたか?」

「大したことない。殴られて当然だし」


彼女は少し困ったような瞳で俺を覗き込んだ。


だから、そういう目で見るなって。

せっかくの決心がまた揺らいでしまう。
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