黒色女子を個人授業
「だああ! お前はどうしてそういう顔をするんだ!?」

俺が彼女の頬を摘まむと、さすがに彼女は怒った顔をして睨んできた。

「お前さあ、分かってて聞いてんの!?
俺が好きだの愛してるだの並べたところで、お前は不幸になるだけなんだぞ?」

なにしろ俺は結婚している。

浮わついた俺の感情は、彼女を苦しめるだけのものでしかない。


「分かってるけど、聞きたいんです!」

彼女が投げやりな声を上げた。

「別に何が欲しいとか、そんなんじゃなくて! 単に私のことどう思ってるか、知らなきゃ気が済まないだけなんです!」


頭が良くていつも正しい彼女が、どうにもならない感情に振り回されて悲鳴を上げている。

それが自分のせいだと考えると、とうしようもなく愛おしくなった。
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