黒色女子を個人授業
辿り着いた先は、先日二人で一緒に訪れたデパートの中にある例のブランドショップ。


彼は素早く店員を捕まえると、あのときに見たピンクの財布を指してラッピングするように頼んだ。

「大城さん! ちょっと待ってください!」


なんて強引な!


私が慌てふためいてると

「諦めなさい、その子は寿命だよ」

と言って私のバッグの奥にある財布の方に視線を落とした。


「……これ、出世と全く関係ないですよね」

「あるある。この歳でマネージャー任された僕の出世術を舐めてもらっちゃ困るなー」

彼は自信満々に胸を張った。

「この歳って、大城さんいくつなんですか?」

「いくつに見える?」

「そういうめんどくさいこと聞き返さないでください」

私が睨みつけると「ごめんごめん、君より3〜4コ上かな」と笑ってごまかした。
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