黒色女子を個人授業
しかもよりによってピンクの方なんて。

「白で妥協するって話じゃなかったでしたっけ!」

「あれ? そんなこと言ったっけ?」

とぼけているのか、本当に忘れているのか。

「私もう28ですよ? ピンクって歳じゃあ……」

「そんなに強烈な色じゃないから問題ないでしょ」

大城さんは自分の財布からクレジットカードを出し、店員が持ってきた受け皿に置いた。

「領収書貰ったら経費で落ちるかなぁ?」

おどける彼に

「ブランド名入ってるから無理です。この店に経費で落ちるような商品は売っていません」

私は冷静に突っ込む。



しばらくすると店員が赤いリボンでラッピングされた可愛らしい箱を持ってきた。

それを小さな紙袋へ入れて、持ち手の根元をテープで止める。

紙袋を大城さんが受け取ると「はい」とそのまま私に差し出した。


「プレゼント」

大城さんが私の唇の前に人差し指を置く。触れそうになってびっくりして、びくっと肩が震えてしまった。

「みんなには内緒だよ」

彼がとろけるような微笑みでそんな甘い言葉を囁くから

私は彼の目を見ることができなくて、うつむいた。
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