黒色女子を個人授業
デパートから出ると、空はすっかり夜の色に染まっていた。


今日はもう仕事のことを考えるのはやめようーー


そう言って次に連れていかれたのは、お洒落な創作居酒屋だった。

女性客やカップルが多く、飲んで騒ぐような若い客はいない。

落ち着いた雰囲気でゆっくりとお酒を楽しめるような、隠れ家的な店だった。

個室に通されると、彼は適当にメニューからいくつか見繕って注文した。

飲み物何がいい?と聞かれ、ひとまず彼と同じビールを頼んだ。


「いいんですか? まだ仕事たくさん残ってるのに」

私が不安を残したままビールのグラスを抱えると

「煮詰まったときにいくら考えても答えは出ないよ。
いっそのこと気分転換した方がいい」

大城さんはそう言って気持ち良くビールを飲み干した。
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