黒色女子を個人授業
21時半を過ぎて店を出たところで、突然大城さんが私に向き直った。
「さて、僕はこれから本社に戻りますんで、天野さんは大人しく帰ってください」
「えっ! 今日は仕事のことは忘れるって……」
「仕方ないじゃないですかー、営業に今日中今日中ってせっつかれてるんですもん」
彼はしょんぼりしながら口を尖らせた。
嘘つき! 忘れるって言ったのに!
上司が仕事をするのに部下だけ帰るわけにはいかない。
「私も行きます」
「ダメですよ、天野さん、お酒で顔真っ赤じゃないですか」
言われて、うっと押し黙る。
確かに、この顔で会社へ行くのは少々まずい。
対する大城さんは、結構なグラスを開けたにも関わらずいつもと変わらない顔色だ。
恐ろしい酒の強さ。
「それじゃあ、お疲れ様です」
彼は手を振りながら本社のあるオフィスビル群の方へと去って行った。
残された私は仕方なく駅に向かって歩き出す。
右手には小さくて可愛い紙袋が揺れていた。
「さて、僕はこれから本社に戻りますんで、天野さんは大人しく帰ってください」
「えっ! 今日は仕事のことは忘れるって……」
「仕方ないじゃないですかー、営業に今日中今日中ってせっつかれてるんですもん」
彼はしょんぼりしながら口を尖らせた。
嘘つき! 忘れるって言ったのに!
上司が仕事をするのに部下だけ帰るわけにはいかない。
「私も行きます」
「ダメですよ、天野さん、お酒で顔真っ赤じゃないですか」
言われて、うっと押し黙る。
確かに、この顔で会社へ行くのは少々まずい。
対する大城さんは、結構なグラスを開けたにも関わらずいつもと変わらない顔色だ。
恐ろしい酒の強さ。
「それじゃあ、お疲れ様です」
彼は手を振りながら本社のあるオフィスビル群の方へと去って行った。
残された私は仕方なく駅に向かって歩き出す。
右手には小さくて可愛い紙袋が揺れていた。