黒色女子を個人授業
ことの真偽を確かめるべく、翌朝、俺は再び天野を待ち伏せた。

……ストーカーなんて言うなよ。

通勤時間帯の雑踏に紛れて、天野が駅から出てくるところを狙っていると、今度はたいして待つことなく彼女の姿を見つけた。

まぁ、通勤時間はだいたい予想がつくから、待つはずなんてないんだけど。


「天野おはよう!」

俺は後ろから追いついて声をかけた。

「ひゃあ!」

彼女が驚いて上げた叫び声が予想以上だった上に、後を付けたというやましさも加わって、俺は過剰に身じろぎした。

「……そんなに驚くなよ」

「あ、ごめん、酒井くん、おはよう」天野は申し訳なさそうに挨拶をした。
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