黒色女子を個人授業
「……天野が大城さんのお気に入りって本当ですか?」


俺が質問すると、大城さんは一瞬不意をつかれたような顔をしたけれど、すぐにまたいつもの表情に戻った。

「どうしてそう思う?」

ええと、と俺は言いごもる。

「……今井さんがいじけてたんですよ、俺の扱いはひどいのに、天野にだけ優しいって」

今井さんごめんなさい。ダシに使いました。


俺の言い訳を聞いた大城さんは「まぁ、確かに今井さんに優しくするつもりはないけど」そう言って吹き出した。

思わず俺もつられて笑う。「そうですよねー」

ふと話が終わりかけて、俺は慌てて次の言葉を促した。「……けど、何です?」

食い下がる俺を見て、どうやら大城さんは何かを察知したらしかった。にっこりと微笑んで答える。

「内緒」


え。


思わずあはははーと渇いた笑いを返す。


……これは挑発か?


自分の気持ちを全て見透かされているようで、その余裕の表情にムカッときた。
< 73 / 510 >

この作品をシェア

pagetop