黒色女子を個人授業
***

俺が休憩スペースの横を通りかかると、ソファにもたれながらコーヒーに口付ける花山の姿が見えた。

周りには誰もおらず、ひとり寂しく携帯電話をいじっている。

ちょうどよかった。ふたりきりで話したいことがあったんだ。

のんびりした歩調で彼女に近づくと、彼女もすぐに気がついて顔を上げた。


「なぁ花山。天野って大城さんと付き合ってる?」

開口一番の質問に、花山はコーヒーを取り落としそうになった。

「は? なんでそーなるのよ?」

そう聞き返してきた花山の声は明らかに不機嫌で、この事実が花山にとって嬉しくないものであるということがよくわかった。

「……俺、昨日見たんだよね。
天野と大城さんがイチャついてるところ」

「……うそでしょ」

ショックを隠しきれない様子で愕然と呟く花山の姿を見て、少しだけ後悔した。

言わない方がよかったか?

これで二人の友情に亀裂が入ったら、俺のせいかもしれない。
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