青空の下月夜に舞う
私が座った途端。

「あ」

何か思い出した様に、声を上げる慶太郎は。

ニヤつきながら私にとんでもない話を切り出した。


「麻衣ちゃん、響と風呂入ったんだって?」

「……っ!!」


いきなり振られた話に、息を飲む。

な、な、何で!あんたが知ってるの!


慶太郎の面白がる様な笑みは、疑問じゃなくて確信めいた物。

あ!あいつ……


「祐也のバカ野郎」

「アイツの顔もウケたけどな。プププ」


アイツの顔も、って。
女と風呂に入るのが当然って暮らしが未だに理解不能だ。

ウケるのはお前らの思考回路だ、と言わんばかりの目で慶太郎を見つめる。

ひとしきり笑った後。


「はぁ~あ。またみてぇな。アイツのああいう顔」と。タバコを揉み消しながら、目尻に溜まった涙を拭った。
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