青空の下月夜に舞う
「麻衣ちゃん?」
「何」
「あは。そんなに警戒しないでよ」
ふざけた空気を纏う慶太郎。
だけど。
「本題行く前にさ。ちょっと質問あんだけど」
「いいですよ」
「俺嘘嫌いだからね」
「嘘吐く理由がないから」
「まあ、それは分かんないけど?」
徐々に。慶太郎の声色が変わって。
瞳に視線を移した時。
顔は笑ってるのに。
何て言うんだろう。
雰囲気が。笑っていない、なんて。
そんな風に感じたのは……人生で二度目の事だった。
「原嶋 雄大。この名前、知ってるよね?」
まさか雄大の名前が慶太郎から出るなんて。
射抜く視線は、心を見透かされている様で。
慶太郎から視線を外せないで居る私に、肯定の意味を悟り、ぷっくりした唇が三日月に歪む。