青空の下月夜に舞う
私と雄大が恋人……
昔の自分達を、一瞬思い浮かべたけど。

……やめた。



「まあ、いいや。麻衣ちゃん嘘吐いてる顔じゃなかったもんね。信じる」

威嚇する雰囲気を徐々に和らげ、穏やかに話す慶太郎。


あー。体が痛い。
セナに何て言おう。鞄教室だしなぁ。


「じゃあ、俺も約束。教えてやんよ」


慶太郎の言葉に、そっか。と頭を切り替えた。
メインは私の話じゃない。

頭ん中が雄大でいっぱいで。
昔話なんて久々だから、そっちに意識が飛んでたんだ。


「麻衣ちゃんの周りから、何か聞いた?」


まただ。

笑ってる様で笑ってない。
それに加えて、探るような目。

表情をコロコロ変える。


「小さな抗争、って。祐也が……」

「それ以外は?」


首を横に振る。
言葉足らずかもしれないけど、伝わった様で、「ふーん」と言いながらタバコを揉み消していた。
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