青空の下月夜に舞う
「うー……ん」
10時を回り、更衣室で私服に着替えて裏から店を出た。
疲れたなぁ。
ガラガラとスーツケースがコンクリートに擦れて音を出す。
表の方へと店の角を曲がった時。
目に飛び込んで来たのは数台のバイク。
思わず立ち止まり、バイクを見つめていると、こちらに近づいて来る煩いエンジン音。
あっという間に距離を縮めたその音は、焼肉屋の駐車場に入り、私をライトで照らした。
「麻、衣……?」
ライトで顔が見えない。
けれど、呼ばれたのは、確かに私の名前で。
眩しくて目を細めると、「あ、わり……」の声と同時に、私から右へライトが反れた。
「ゆう……」
「祐也じゃん!何してんのこんな所で!」
私の言葉を書き消す様に、焼肉屋の玄関の方から声がして。
カツカツとヒールの音が数回聞こえると、ギャル系の服装をした女の子達が祐也のバイクを囲んだ。