青空の下月夜に舞う
コール音が耳に自棄に響く。
その度に私の心臓は嫌な音を刻む。


『はい。上野です』


――あ。お父さんじゃ、ない。


「もしもしっ。私です、麻衣で――」

『ああ。何。朝から』


先程電話に出た時とは違う。不機嫌丸出しの声。


「ごめんなさい。急なんですが、今週金曜日までに家を出ていかなければいけなくて……」

『はあ?あんた独り暮らしだからって、どんちゃん騒ぎしてんじゃないの?!』

「ちが……!いえ、違います……アパートを取り壊す事になったみたいで……」


そう告げると、ハア、と大きく息を吐かれた。
心臓がズキンと痛む。


『お父さんに話してからまた連絡するわ。こっちから連絡するまで電話しないでね。あなたの顔思い浮かべると、私震えが止まらないから』


「はい……知恵さん、すいませ……――あ。」


切られてる。
喉の奥が少し痛いけど。まだ電話だからマシだ。


はあ……布団に横になると、体の力が抜けて。
天井を見ると、変な染みが私を見て笑ってる様に見えた。


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