青空の下月夜に舞う

「麻衣ちゃんって超真面目?」

口にしたのは慶ちゃん。

「麻衣は焼き肉屋の他にパン屋でも働いてるからね。勤労少女なんだよ」

祐也が口を挟んで答える。
ふーん、と。
聞いてきたくせに、大して興味もない様な言い方。


「さっきさ、麻衣ちゃん拉致られたよね?」

私に問う短髪男。
馴れ馴れしいな、とは思いながらも、頷く。

「あいつ等はまだいいんだけど、黒邪気って所が厄介なんだよね」

「はあ、」

「祐也が大事な友達って言うからさ。無邪気から麻衣ちゃんを取り返したって訳」

「はい……」

「無邪気は黒邪気と仲良いからね。あ、黒邪気はうちを狙ってるとこなんだけど、」

「へぇ、」


相槌を打つけど、何が何だかさっぱりわからない。

無邪気と黒邪気って何。
無邪気から取り返したって、雄大は無邪気には見えないけど?

疑問符だらけだけど、短髪男が教えてくれている姿が、とても優しく丁寧。

分からない、と口に出来ずにいるのだ。
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