青空の下月夜に舞う
ちょっと。
私噂知りたいなんて言ってないし。

さっきは、――――


「拒否権はねえ。ヤられねえだけいいと思え」


有無を言わさないオーラ。
響に睨まれ、固まるしかない私。

頭を縦に振ると、視線を反らされた。


「後は楽にしてろ。後、」

「まだ何かあんの?」


反らされた目線が、私の緊張を解き、思わず口から漏れた一言。

四人の視線が、一斉に集まる。


「あ、や、えっと……」

「何?」


口を開いたのはミナ。
響でなくよかったに思える。アイツに睨まれたら、目見てしっかり話せない。


「理由もなく、軟禁って。納得いかない……私帰りたいし。帰る場所ないけど」

「お。まみちゃん家出?」


慶太郎が横から口を出す。
家出って……まあ、ある意味家出、だけど。


「そんなもん、です」


もう。まみちゃんでいいから。


「じゃあちょうどいいんじゃねえ?学校行ってるけど家出って事は、親が何も言わねえんだろ」

「ちょうどよく、は。ないです。ホテルに泊まりますし。ホテルに荷物もあります、し」

「大丈夫大丈夫。祐也が取りに行くから。ラブホ?じゃねえよな、じゃああそこか。川口ホテル」

「……っ!」


当てられて思わず目を見開く。
え。私ホテル、しか言ってないじゃん?
しかも……

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