青空の下月夜に舞う
「何驚いてんの。学生が入れる値段で、女一人なら川口ホテルか、駅前通りの二つしかねえし。一番安いだろ。焼肉屋から一番近い」

「あ、……」


この人。頭の回転早いかも。
見た目ライオンみたいな頭してんのに。


「まみちゃん、今俺の事バカにしたろ?部屋番号まで当ててやろうか?」

「え!それもわかるの?!」

「わかんねえよ!わかるわけねえ!ギャハハハハ!」


何で私今からかわれたの。
でも、部屋の空気が和やかになったのは確か。


「男ばっかりだから、気使うかもしれないけど、大丈夫だからね?祐也の友達だから変な目に合わせらんないし、チームもバカにされる。変な話だけど、俺たちはそんな世界に居るからさ」


ミナが私に優しく説明する。
申し訳なさそうに話す姿に、祐也に部屋番を教えた。

響が立ち上がり、冷蔵庫に向かう。

「じゃあ、慶太郎。風呂場の前の部屋使うからな」

「はいよ」

「じゃ、麻衣ちゃんこっち」


ヒラヒラと手を振る慶太郎を横目に、私はミナに促されるまま、リビングを後にした。



廊下を歩き、玄関を通りすぎると、一番奥の部屋に通される。

扉を開けると、そこは六畳くらいの洋室。
テレビとスプリングマットレス。
布団も丁寧に置かれてあって……


「あ!私のスーツケース!」

口にすると、ふわりと笑ったミナ。

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