青空の下月夜に舞う
「拉致られたとこにあったよ。祐也が麻衣ちゃんのだって」


有りがたい。
私の所持品ほぼ全てがこれに詰まってる。

でも祐也、なんでわかったんだろ。


「ああ、確認の為にパンツ見たって言ってた」

「!!」

「ふはは。百面相。面白いね」


ミナは、静かに扉を閉めて出て行った。

祐也!後で覚えてろよ?!
しかも私そんな特徴的なパンツ履いてねえし!


スプリングマットレスのベッドに腰かけると、テレビ画面に視線を向けた。

当たり前に、真っ暗。


“麻衣”


思い出したらゾクリと、鳥肌が立つ。
キュッと、自分の肩を抱き、俯き下唇を噛んだ。

心が落ち着き、ドアノブを見ると、鍵が付いていて。

鍵をかけた後、スーツケースから部屋着を出して見に纏う。

シミ1つない、ベッドの布団に潜り込み、瞼を閉じた。


――ホテル代。
いらなかったんだから、と。

ポジティブに考えよう。


何で私が、こんな目に……よりも。
タダじゃん、ラッキー、の方が。

物は考えよう。
色々腑に落ちないけど。
響の態度も気にくわないし。
慶太郎にバカわらいされたのも、そうだし。
さっきからかわれたミナも。

祐也に免じて許してやろう。


鞄から携帯を取り出し、

【受けとりました】

と、だけ。
メールをして。眠りについた。
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