青空の下月夜に舞う


――――ん。


携帯のアラームで目が覚めた。
いつも学校に行くのに、起きる時間。

いつもと違う寝心地。
いつもと違う天井。


夢じゃ、ない、か。


こんな台詞。ドラマでしか聞いた事ない。
タイムスリップした訳でもないし。

いや、こんな非日常的な現実は、ある意味タイムスリップだ。

拉致される程、可愛くないし。
付き合ってもない男の家に泊まる、なんて。
しかも昨日会ったばかりの。

はあ……


鏡を取り出し、櫛を髪に通しながらため息ばかり。

制服に身を包み、ドアノブに手をかけて、廊下に出ようとした時。


「…………っ……~~~~!」


何処の部屋からか分からないけど、聞こえてきたのは明らかに卑猥な声。


「~~!~~っ!」

「……っぁ~……」


思わず固まってしまった。

どうすりゃいいの。
どうしたらいいの。
どうすべきなの。


とりあえず、ソッと扉を閉めて、ポケットの携帯で時間を確認。

ここがどこだかまず分かんないし、早く用意済ませたんだけどな。

玄関まで行っていいかな。
あんなに激しく喘いで……いや、あれは犬が吠えている事にしよう。

うん、この際だ。

姿が見えない状況こそ、レッツ!ポジティブシンキング!

ポジティブの使い方正解?いや、わかんない。

まあ、いいや。
こんな状況になったら、頭の中で独り言が増えるのは自然な事だ。うん。
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