青空の下月夜に舞う
「セナちゃん、頭いいね。今度マジで抱かせて」
「万年発情期」
「僻みだろ、麻衣ちゃんっ」
「何で私が、こんなヤツを好きに……」
「お。惚れたのかよ」
「惚れるかよ。クソ祐也」
私と祐也のやりとりは、いつもと同じ。
隣のセナは笑いながらストローをくわえた。
「ま、来週には出てっていいみたいだから。麻衣、少しの間だけだ」
「え!祐也くん家居るの?」
セナが大きな瞳を更に見開き、驚きの表情を私に向ける。
「んな訳ないじゃん。ライオンハウスに住んでるよ」
「あははははっ!」
笑い声を上げた祐也。
セナは、少し考える様な顔に変わる。
再びストローをくわえて、チラリと祐也に視線を向けた後。あ、と呟き。
「あんたもしかしてライオンハウスって……」
「慶太郎って人の家」
私が放った言葉の後、祐也を見ても、否定せずまだ笑っている様子を見て、セナは確信したのか。
「慶太郎、って。上田慶太郎?」
固まる表情。
視線は私を向いて居なかった。