彼に殺されたあたしの体
しばらくすると、土の隅間から光がさしこんできた。


それは久しぶりに見る光だった。


考え通り今は夜みたいだけれど、微かな月明かりがひどく懐かしく胸が熱くなる。


そして、ついにその人物の顔が見えた。


先生だ……。


土にまみれながら先生がそこに立っていた。


肩で呼吸を繰り返し、額には汗が滲んでいる。


あたしのためにそこまでしてくれたのかと思うと、少しだけ嬉しい気持ちになった。


でも、どうして?


どうしてここへ戻ってきたの?


聞きたいけれど、聞くことはできない。


先生はあたしの顔を覗き込むようにして見て顔をしかめた。


あぁ、そうか。


あたし今ひどい顔をしているよね。
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