彼に殺されたあたしの体
ザクッザクッ。


少しずつ、あたしの体が地上からは見えなくなっていく。


耳の穴にも、鼻の穴にも、そして眼球の上にも、土が積まれる。


あたしは体全体で土の重みを受け止めていた。


その重みが増えて行く度に、彼がスコップを使う音が徐々に小さく、遠くなっていく。


やがてその音は止み、彼が土を踏みしめて去っていく音と振動だけが、あたしに伝わって来た。


しばらく待っても何の音も、振動も聞こえない。


彼はすべてをやり遂げて、そして帰って行ってしまったようだ。


途端に寂しさが胸の奥を付いた。


あたしは今、土の中にひとりぼっちだ。
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