彼に殺されたあたしの体
暑い最中に埋められてから何日も経つのだ。


そろそろ腐敗し始めていても不思議ではない。


特に腹部の損傷は激しく、内臓は外部へとはみ出している。


元々あたしの体に収まっていた臓器は外気にさらされながら土に埋もれた状態なのだ。


時々虫たちがあたしの体に群がり、その臓器を食べているようだった。


前に想像したように今に野犬が来るのではないかと冷や冷やしている。


穴の中に落とされたキャンディーの袋には蟻がむらがり、あたしの体に列を作った。


カサカサと小さく動き回る蟻たちを見ていると、肌に感覚はないのにくすぐったさを感じた。


キャンディーを食べつくした蟻たちは今度はあたしの体を食べ始めた。


小さな口であたしの肌をついばむと、針で刺されているような痛みを感じる。


人間とは不思議な生き物だ。


生前の感覚が記憶の中に残っているから、それが今再現されているのかもしれない。
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