彼に殺されたあたしの体
ここに埋められてから色々な虫たちに体を這われ、食べられ、そして住処にされてきた。


でも、ウジムシを見たのはこれが初めてだった。


その形状はカブトムシの幼虫にそっくりで、ブヨブヨと柔らかな皮膚を持っている。


指先でつまんだら潰れるくらい弱い生き物。


だけどそれは愛らしさとはかけ離れていて、できれば見たくない虫の1つだった。


どうしてこんなところにウジムシがいるんだろう。


時々台所とかで痛んだ野菜にくっついているのを見たことはあるけれど……。


そのまで考えて、やっと理解できた。


あたしの体はウジが湧くほどに腐っているのだ。


一体いつからだろう?


匂いがすると感じたのはもうずいぶん前だ。


それから気にしていなかったけれど、腐敗はかなり進んでいるようだった。
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