彼に殺されたあたしの体
大好きな美術の授業でも、自分よりも上手な人がいれば自分の作品をそっちのけにして褒めていた。


これからまだまだ描く時間はある。


ゆっくりでも自分のペースで進んで行こう。


そう思ってカンバスに向かっていたからだ。


それが現実はどうだろう?


あたしに残されていた時間なんて、ごくわずかなものだった。


みんなだって『いつ死ぬかわからない』日々を送っている。


頭では理解して生活してきたつもりだったけれど、本当は全然理解なんてしていなかった。


自分が明日死ぬなんて、今日死ぬなんて、一分後に死ぬなんて。


誰も考えていない事だった。
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