彼に殺されたあたしの体
あたしは土の中で1人ぼっちになってから、描いていた途中の作品が気になっていた。


学校から少し出た場所にある川の様子を、水彩画で描いている途中だったのだ。


普段何気なく通り過ぎている川辺に座り、まじまじとその風景を見ているとなんだか心の中が暖かくなるのを感じた。


夏の太陽に照らされて水面は輝き、背の高い木々が川辺に木陰を作っている。


体の中を駆け巡っている血が沸き立つのを感じる。


描きたい。


この場所を描きたい。


そう思った瞬間あたしは学校へ向けて走りだしていた。


スケッチブックをとりに行くのだ。
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